狭心症・心筋梗塞とは

心臓は「冠動脈」という血管から酸素と栄養を受け取っています。動脈硬化により冠動脈が狭くなったり詰まったりすると、心臓の筋肉が酸素不足となります。

弁膜症とは

心臓の各部屋の間には「弁」と呼ばれる扉があり、血液が逆流しないように調整しています。

この弁が硬くなる（狭窄）または閉まりが悪くなる（閉鎖不全）ことで血液の流れが乱れ、心臓に負担がかかる状態が弁膜症です。
大動脈弁狭窄症や僧帽弁閉鎖不全症といった病名が代表的です。息切れやむくみ、疲れやすさ、動悸など、心不全の症状が出現します。

高齢者に多く、進行はゆっくりでも、治療が必要になることがあります。治療には薬物療法、カテーテル治療、外科的手術があります。

不整脈とは

不整脈とは、心臓のリズムが乱れ、脈が速くなったり、遅くなったり、不規則になる状態です。

リズムが乱れ、脈が速くなる不整脈として心房細動が代表的です。心房細動は動悸、息切れ、だるさが出ることがあります。また、心臓内に血栓ができやすくなり、その血栓が脳に流れることで脳梗塞を起こすリスクが高まります。そのため、必要に応じて不整脈を抑える薬やカテーテルアブレーション治療、脳梗塞を予防するための抗凝固薬（血液をサラサラにする薬）を用います。

脈が遅すぎる場合には、めまいや失神（気を失う）が起こることがあり、ペースメーカの植え込みが必要となることがあります。

心筋症とは

心臓の筋肉自体に異常が生じ、心臓のポンプ機能が低下する病気です。

心臓の形態の変化から拡張型心筋症、肥大型心筋症に大きく分類されますが、遺伝的な要因を含めてその原因は様々であり、診断のために複数の検査（血液検査、画像検査、カテーテル検査など）を組み合わせて評価します。

先天性心疾患とは

生まれつき心臓の構造に異常がある病気です。軽症で日常生活に大きな支障がない場合から、手術や継続的なフォローが必要な場合まで幅があります。

小児期に治療を受けた方でも、成人後も専門医による定期的なフォロー（成人先天性心疾患専門外来）が重要です。

心不全とは

心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です。

心臓のポンプ機能が悪くなる原因として狭心症・心筋梗塞、弁膜症、不整脈、心筋症、先天性心疾患などがあります。

入院が必要になるような心不全の増悪をきたす度に心臓の機能や体力は低下していき、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返し、入退院を繰り返すようになります。悪くなった心臓を元に戻すことは難しいため、治療を続けて、さらに生活を見直すことで心臓の負担をやわらげながら、「これ以上悪くしないこと」が重要です。

心臓病に関するよくある質問

• 胸が痛いときは、すぐに病院へ行くべきですか？

  強い胸の痛み」「5分以上続く」「冷や汗・吐き気・息苦しさを伴う」場合は、迷わず119番通報してください。一方、短時間で治まる痛みでも、繰り返す場合は狭心症の可能性があるため、早めに循環器外来で相談しましょう。

• 動悸や脈が速い・乱れることがありますが、大丈夫ですか？

  不整脈の可能性があります。特に 心房細動 は、脳梗塞のリスクを高めます。一時的な症状でも、心電図や24時間心電図（ホルター）検査が必要なことがあります。

• BNPが高いと言われました。心不全でしょうか？

  BNP（またはNT-proBNP）は、心臓の負担やストレスを示す値ですが、値が高い＝心不全と決まるわけではありません。心エコーなどの検査結果と症状を合わせて総合的に判断します。