病気を知る

心臓病のリハビリテーション

心臓病のリハビリテーションについて

心臓リハビリテーションとは

心臓リハビリテーション(以下、心リハ)は、心筋梗塞や狭心症、心不全などの循環器疾患を患った方が、安全で効果的に社会復帰し、質の高い生活を送ること、また再発や心不全の増悪を防ぐことを目的とした多職種で行う包括的なリハビリテーションです。

心リハを行うことで期待できる効果は以下のものがあります。

身体面での効果

走るイラスト
  • 心肺機能の改善
  • 筋力/持久力の向上
  • 血圧や血糖値の安定化
  • 再発予防効果

精神面での効果

精神イラスト
  • 不安やうつ状態の軽減
  • 自信の回復
  • 生活の質の向上

社会面での効果

職場復帰イラスト
  • 職場復帰の促進
  • 家庭や地域での役割の回復

心リハを開始する時期はいつから?

心リハは病気になった瞬間から始まります。
その後、発症からの期間に合わせてリハビリの内容を段階的に変化させます。

急性期(発症直後〜数日)

ベッド上でのリハビリのイラスト

ベッド上での安静を保ちながら、医師の指示のもと徐々に活動を開始します。
まずは看護師やリハビリスタッフと一緒に起き上がったり、座ったりする練習から開始し、状態に合わせて歩行練習などを実施します。

前期回復期(数日〜数週間)

病棟内でのリハビリのイラスト

病棟内での歩行練習や軽負荷での筋力増強訓練を行います。
自宅退院に向けて階段昇降の練習など日常生活動作の練習も取り入れます。

後期回復期(3ヶ月〜半年程度):

外来リハビリのイラスト

外来リハビリや自主トレーニングを通じて、心不全の増悪を防ぎながら、体力の回復を図っていき、活動範囲を広げていきます。また必要に応じて、心臓や体力の状態を測る専用の検査(運動負荷試験といいます)を取り入れ、安全に生活ができる水準を一緒に確認します。

維持期

自主トレーニングのイラスト

自宅でできる自主トレーニングを継続しながら、心筋梗塞の再発や心不全の増悪を防いでいきます。

入院中の心リハはどんなことをするの?

入院中の心リハは大きく次のようなものがあります。
ご本人の体調に合わせてメニューは個別に検討します。

理学療法(りがくりょうほう)

  • 有酸素運動: 自転車エルゴメーター、トレッドミル歩行
  • 筋力トレーニング: 体力レベルにあった重りを使った筋力強化
  • バランス・協調性練習: 転倒予防のための練習

作業療法(さぎょうりょうほう)

(施設により実施状況が異なりますのでご確認ください)

  • 日常生活動作練習: 入浴、更衣、家事動作の練習
  • 職業復帰支援: 仕事に必要な動作の確認と練習
  • 退院後の役割や生活内容に対する支援

その他に心肺運動負荷試験により安全に生活できる運動強度を測定し、運動指導や生活指導を行います。

外来の心リハはどんなことをするの?

*実施施設や病気の内容により実施状況が異なりますので受診先医療機関にご確認ください。

退院後も継続的に心リハを行うことで、さらなる改善が期待できます。

運動療法

運動療法のイラスト
  • 週2〜3回、医療機関での監視下運動
  • 自宅での運動プログラムの指導

食事改善

食事改善法のイラスト
  • 適切な活動量の設定
  • 症状の自己管理方法
  • 服薬管理の指導
  • 発症後の生活

仕事について

仕事のイラスト
  • 段階的な職場復帰
  • 職場環境の調整相談

日常生活について

日常生活のイラスト
  • 家事や買い物などの活動レベルの調整
  • 趣味活動の再開支援

ご家族や支援者の皆さんにお願いしたいこと

「心臓の病気は怖いもの、安静にしないといけない・・・」とご心配なことと思いますが、適切な量の運動は再発を予防し、元気になるためにとても大事です。運動や食事、服薬の支援など、必要であればご家族も専門家のサポートを受けることができます。
過度な心配はせず、前向きに声をかけて差し上げてください。

安全な生活の継続のために取り組みたいこと

体調チェック 毎日の体調確認を習慣化 血圧測定、体重測定、むくみの有無の確認、呼吸苦の増悪がないかの確認 などを継続しましょう
定期受診 医師との定期的な相談を続けましょう。いつもと様子が違う(血圧が低いまたは高い、脈拍が早い、不整脈が多い、体重が急に増えた、息苦しそう)、なんだか活気がなく心配と思ったらすぐに受診しましょう
無理をしない 体調に合わせた活動調整をしましょう
規則正しい生活 睡眠、食事、運動のリズムを整えましょう
ストレス管理 リラクゼーション法の習得、趣味など気分転換の方法を探しましょう
社会参加 過度な負荷には注意しながら、地域活動や趣味を通じた社会との関わりを持ちましょう

心臓病のリハビリテーションに関するよくある質問

  • 心リハを受けるためにはどうすればいいですか?

    まず、かかりつけの循環器内科医師に相談してください。心リハは医師の指示が必要な医療行為です。医師が患者さんの状態を診察し、適応があると判断されれば、心リハ実施施設を紹介してもらえます。県内の大学病院や専門病院で実施されています。心リハ実施施設をご確認ください。

  • 体調不良の場合、受診をする目安はありますか?

    以下の症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください:

    • 胸痛・胸部不快感が続く場合
    • 息切れが安静時にも起こる場合
    • 動悸が激しく続く場合
    • めまい・失神を起こした場合
    • 足のむくみや顔のむくみが急に悪化した場合
    • 体重が短期間(1週間で2〜3kg程度)で急激に増加した場合
  • 心臓リハビリテーションのサポートする組織はありますか?

    心臓リハビリテーションのサポート組織として全国的にはジャパンハートクラブが有名ですが、島根県にはジャパンハートクラブの支部組織は2025年10月現在ありません。ジャパンハートクラブの関連組織として全国どこからでもオンラインで新リハを受けることができる、Tele-MedEx Clubというものがあります。

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